老齢年金の繰下げ受給は損なのか、得なのか
昨日、職場のOBの方から
「もうすぐ65歳になるから、年金のはハガキが来た。時間がある時に繰り下げ受給のことについて教えてほしい」と話がありました。
ネットで調べてみると、繰り下げ受給を選択している人はわずか1%台(2018時点)で多くの方は、繰り下げ受給のことを知らない又は、あまりメリットを感じていないということになります。
相談に備えて、老齢年金に少し整理しました。
老齢年金の種類
1 老齢基礎年金(国民年金)
全国民が受給できる年金(年金1階部分)
2 老齢厚生年金(厚生年金)
会社員、公務員等勤め人だった方が老後にもらえる年金(年金2階部分)
※ いずれも支給開始年月日は65歳です。
繰り下げ受給の仕組み
1 65歳から70歳までの間、受給開始を繰り下げることができる。
2 繰り下げた場合、65歳からの受給額に対して、月0.7%ずつ増額していく。
3 70歳まで繰り下げて受給した場合、年金受給額が42%増となる。
繰り下げ受給の損益分岐
年金受給を65歳から受給した場合と70歳から受給した場合の損益分岐は80歳前半になるようです。
つまり、80歳前半より長生きをすると、トータル年金額は多いという事です。
繰り下げ受給の落とし穴
少し、話が難しくなりますが、繰り下げ受給を検討するうえで最も重要な情報です。
1 加給年金(振替加算)が受給できない。
加給年金とは、扶養手当と考えてください。
65歳未満の配偶者の収入が850万円未満であった場合、年間約39万円を受給できます。
ですから、ご本人が65歳時点で、配偶者が63歳の場合、受給要件を満たすと、トータル78万円(39万円×2年)を受給できます。
しかし、繰り下げ受給を選択しますと、この78万円(例示の場合)はもらえなくなります。
また、配偶者が65万円を超えますと、配偶者も老齢基礎年金をもらうことになりますので、加給年金の受給は終了します。
65歳からは加給年金の代わりに振替加算というものがもらえます。ただし、振替加算の受給額は年間数万円です。
もし、繰り下げ受給を選択すると、この加給年金と振替加算が支給されなくなります。
2 65歳時点で働いていた場合の繰り下げ受給
65歳時点で働いていて、年金が受給停止になっている場合(在職老齢年金)は、受給停止になっている部分は、繰り下げにより、増額対象になりません。
働いている場合は、要注意です。
3 個人年金とその他の収入がある場合は、社会保険料や税金負担が増となる可能性も
ざっくり言います。
個人年金や投資による配当があって、70歳からそれなり収入が増えますと社会保険料や税金の負担が増える可能性があります。
公的負担は、高所得者に厳しいです。
3 まとめ
結局、どっちがお得?の答えは、1つではありません。
個人によって年金受給の状況や、財務状況も違いますし、価値観も違います。
年金の話を理解して、自分で決めていくしかありません。
とは言え、繰り下げ受給を選択した人が1%台ということは、多くの方がメリットなしと考えているかもしれません。これが基準になりますかね。